Lean IoTの考え方を日常管理を事例として紹介する。

製造現場では、生産実績や不良品発生状況、遅れ進み、OEEなどは生産管理板が用いられ、日常管理が行われる。図中には現場の一例を示すが、管理版を用いて人と機械の動きの変化を日常的に管理する。これをIoTでデジタル化するためにはシンプルな光電センサーや渦電流センサーなどによりワークや設備の動作をOn/Off信号でデータ収集が可能である。不良実績を収集すれば日常管理板の定量的な機能は実現が可能となる。設備稼働中の状況をOn信号で、手作業やワーク待ちでの設備停止の状況をOff信号で捉えることが出来れるので、価値を生まない時間を探り出すなどの収集データの更なる活用も可能となる。もちろん発生要因など詳細な事象は記録が必要であるが、正しい数値データをリアルタイムに収集することで質の高い工場管理が行える。

このように少数のセンサーから得られるデータを徹底的にムダなく活用することが先ずは重要であり、結果、少ない投資で質の高いIoTが実現できるのである。

このLean IoT活用について我々は人材育成活動を行っている。次にこの考え方を述べる。

私達が進めている人材育成のプロセスを図に示す。

実際の業務に確実に役立てるために、演習を積極的に取り入れた3段階の育成ステップによる人材育成を行っている。このステップを通じて、技術習得だけでなく、思考力、判断力、表現力を身に着け、人の能力を最大限に発揮できる人材の輩出を目指している。

先ず、自分でも出来る、自分ならやれると言ったセルフエフィカシー(自己効力感)を高めるために、ゲーミフィケーションと呼ばれるゲーム的な感覚を盛り込んだ演習を行う。我々はプラレールを活用したプラレール演習により製造工程の効率化を目指したIoTの活用について学んでもらう。

動機付けがされた後に、実機に近い設備を用いて、実践演習を行う。実機ではなかなか再現できない不具合なども演習設備なら発現させることも可能であり、そこで工場運営上のイベントとIoTの活用について学び、実務への適用力を高める。

ここまでの演習で学んだ成果を最後には自分の職場で実践する。時にはOJT活動も導入し実践力を高める。

我々の教育では時間の半分を演習に費やしており、自ら経験し、感じることで、受講生の意欲を高めることを目指している。

我々の演習の特徴はゲーミフィケーションにある。ゲーミフィケーションとは、コンピュータゲームのゲームデザイン要素やゲームの原則をゲーム以外の物事に応用することで、一般に、ゲームデザイン要素を用いてユーザーエンゲージメントや組織の生産性、フロー、学習、クラウドソーシング、従業員の採用および評価、使いやすさなどを向上させるのに用いられると言われている。(ウィキペディア)

ゲームを通じて楽しめるよう、積極的に参加でき、到達可能なゴールを設定し、迅速に結果をフィードバックし、自らの成長が感じれるようにし、結果、価値創出を実現するのが特徴であり、プラレール演習もプラレールの操作を通じて設備稼働の効率化を学ぼうとするものである。

この図はプラレール演習の基本的な考え方を示す。部品に相当する人形(Passenger)と車(Cart)を一体化(組付ける、成形する、プレスするなど)し、検査して良品を次工程へ送るシンプルな工程をプラレールでモデル化している。

プラレール車両は一体化工程での作業に相当する。車両が走行している時がプロセスでの作業時間となる。駅では車両に人形と車を搭載、搬出、一体化製品の検査を行う。車両の到着、出発のタイミングをセンサーで収集する。この動きはちょうど設備でのワークセット、加工・組立・検査に相当する。プラレールで車両を替える、スピードを変えるなど運転条件を変えるだけで設備オペレーションの多様な変化を再現できるので、楽しみながら設備のオペレーションを学ぶことが可能となる。

実際のプラレール演習の様子を動画で示している。レール上を走る間、設備での処理が行われ、駅では受講生によって部品の投排・チェックが行われる。センサーによって車両の到着、出発が計測され、処理時間および非処理時間が計測されることが判る。またレバースイッチによって不良のカウントも行われる。

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